評価のためではなくコミュニケーションのための英語:Harvest奈良支部第3回に参加して

研究会・セミナー

早いもので1月、2月が終わり、3月に突入しましたが、いかがお過ごしでしょうか。此方は期末試験や成績処理も無事に終わり、残すところ次年度に向けての補習のみとなりました。そんな中、何か次年度に向けてのアイディアを得ることができないかと思い、「関西英語授業研究会Harvest第3回奈良支部」に先日、参加してきました。

今回の投稿では、このイベントの内容と参加して感じたことについて共有します。

イベントの詳細は此方をご覧ください。

関西英語授業研究会 Harvest 第3回奈良支部 - 奈良県 大和郡山市北郡山町211−3 DMG MORI やまと郡山城ホール/2024年3月2日14:00〜17:00
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研究会の詳細は此方をご覧ください。

関西英語授業研究会 Harvest

研究会の内容

今回の研究会では中高一貫校から1名と、小学校から1名の方々が発表されました。最初の発表は、谷垣徹先生による「相互評価活動を通したライティング指導の実践」でした。内容としては、勤務する学校がSSH(Super Science High school)ということもあり、現在、学校指定科目として高校3年生の生徒たちが取り組んでいる英語での科学論文の執筆・発表において、それぞれの班が取り組む研究内容の英語そのものはもちろんのこと、一貫性や研究としての重要性などについて、ルーブリックを作成して、それに基づいて生徒同士で何度か相互評価することを通して、英語的にも内容的にも質を高めていったということでした。

次に、角谷尚希先生による「個別最適で主体的・対話的で深い学びの実現を目指すICTを取り入れ働き方を意識したOCFの取組~ブレンディッド・ラーニングを取り入れた小学校外国語科の授業~」でした。角谷先生自身が実際に小学校現場で小学校教員として英語の指導に取り組む中で感じた疑問や問題を基に、自ら指導法を考案し、一斉指導に始まり、その後ICTを利用して児童がそれぞれ個別練習に取り組み、それと同時に教師が児童への個別指導を行い、準備ができた児童から教師との一対一での英語でのコミュニケーションに取り組み、そこでうまくいかなかったとしても再度個別練習に戻り、再び教師とのコミュニケーションに取り組むというサイクルによって、生徒たちが生き生きと英語を使って教師に言いたいことを伝えている様子が見られました。

英語の授業だからコミュニケーションを楽しまなくては

今回発表された実践は、一方で高校3年生、もう一方では小学校ということで別々のものに感じられるかもしれませんが、どちらも英語がコミュニケーションのためのものであるという点が共通していました。谷垣先生の発表では生徒たちが科学論文の執筆や発表のために、角谷先生の発表では児童が教師に対して自分の言いたいことを伝えるために、それぞれ英語を使っていました。どちらにおいても生徒・児童は学習目標としてだけはなく、何かを伝えるための手段として英語を学んでいた。特に角谷先生の発表では、先生自信が児童とのコミュニケーションを楽しみ、それによって児童も先生とのコミュニケーションを楽しんでいる様子が印象的でした。

そんな中、研究会の最後の質疑応答では、参加者の一人である高校の先生から、パフォーマンステストをすると、どうしても生徒たちが事前に準備した原稿を暗記し、それをただ再生するだけになってしまうという悩みが共有されました。今回の参加者の中高の教員が同じ悩みを共有している様子でしたが、角谷先生の授業にはそのための解決策があると思いました。それは、教師自身がまずは生徒・児童とのコミュニケーションを楽しもうとしているかだと思います。角谷先生の授業でも児童のパフォーマンスを測るテストは実施されているようでしたが、普段から先生との英語でのコミュニケーションに楽しく取り組んでいるようで、テストといってもあくまで普段の授業の延長線上であり、児童たちも普段通り先生とやり取りを行うということでした。しかし、一方で中高の授業ではスピーキングなどのパフォーマンステストは生徒にとって教師から評価されるものであり、失敗が許されず教師の期待に応えなくてはならないようなものと感じている生徒も多いでしょう。私自身もこれまでの中高の指導の中で、波及効果という名目のもと、テストを生徒が学習するためのプレッシャーとして使うことがほとんどでした。その点では、普段の授業で実施していることを評価するという「指導と評価の一体化」を、本当の意味では実現できていなかったと反省するばかりです。

英語はあくまでコミュニケーションのためのものであり、児童・生徒たちが英語でのコミュニケーションを楽しむことができるように、まずは我々英語教師がまずは日頃から英語を使い、児童・生徒とのコミュニケーションを楽しもうとしなければ、コミュニケーションが大事だとかそもそも英語を学ぶ意義についても伝えることはできないでしょう。

今回の角谷先生の発表で小学校の先生方が児童が英語でのコミュニケーションに意欲的に取り組んでいる様子を見ると、専門か否かに関わらず取り組んでいる小学校でそれだけのことに取り組んでいるのだから、英語の専門家である中高の教員はもっと日頃の授業で取り組むことができるはずです。年度が終わり、残すところ補習ばかりですが、今回角谷先生の実戦を見て、今年度の授業の反省と同時に次年度に向けてより良い授業を実施したいと思いました。

まとめ

今回は「関西英語授業研究会Harvest第3回奈良支部」に参加して感じたことについて書きました。どちらの先生方の発表も大変素晴らしくまた示唆にも富み、次年度の授業に向けてのアイディアをたくさん頂きました。英語教師として、まずは生徒たちにコミュニケーションの楽しさを伝えることができるように、これからも英語を使う姿を見せつつ、生徒とのコミュニケーションを楽しもうと思います。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

Last Updated on 2024年3月10日

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