A Sociocognitive Perspective on Second Language Classroom Willingness to Communicate

文献紹介

文献概要

今回紹介する文献は、Cao(2014)の”A Sociocognitive Perspective on Second Language Classroom Willingness to Communicate”です。

Willigness to Communicate (WTC)の研究では、WTCに影響を与える要因や、事前と事後でどのようにWTCが変化したのかを探るものがよく行われていますが、今回のこの文献は、学習者のWTCが授業中でどのように変化するかを調査したものです。授業中の学習者のWTCの変化の研究は最近増えてきており、実際の教室環境でどのような要因が学習者のWTCに影響を与えているかは大変興味深い内容です。

Introduction

WTCは、外国語学習においては以下のように言われている。

a readiness to enter into discourse at a particular time with a specific person or persons, using a L2 (MacIntyre, Dörnyei, Clément, & Noels, 1998, p. 547)

WTCに影響を与える要因としてこれまで以下の研究が行われている

  • 動機づけや態度 (Hashimoto, 2002; MacIntyre, Baker, Clément, & Conrod, 2001)
  • 自信 (Baker & MacIntyre, 2003; MacIntyre, 1994)
  • 性格 (MacIntyre and Charos, 1996)
  • 国際的志向 (Yashima, 2002; Yashima, Zenuk-Nishide, & Shimizu, 2004)
  • 年齢や性別 (MacIntyre, Baker, Clément, & Donovan, 2002)

WTCはtraitとstateの特徴を持っている。

  • trait:個人のコミュニケーションの傾向(これまで多くの研究が行われた)
  • state:個人のコミュニケーションを(実際に)始めるかどうかを決める

他の研究でわかっていることとして、

  • 会話の場面では、situational WTCは場面に応じて、また心理的や場面の状況に応じて変化する、多層的なものであると示された(Kang, 2005)
  • 中国の学生の教室内での英語のWTCは静的ではなく動的で場面に応じたもので合った(Peng, 2007)
  • 量的でのSEMの研究により、教室環境がWTCに直接影響していることがわかった(Peng & Woodrow, 2010)

WTC in the classroom context

初期のWTC研究は1つの要因がWTCにどのように影響するか研究が行われてきた(taskへの態度やpre-taskでの準備など)

  • Weaver(2005):task前の計画がWTCに肯定的な効果をもたらしたことが分かった
  • Cao and Philp(2006):situational WTCは、話者との親密度、話すトピックとの親密度、taskへの自信が影響していた
  • Peng(2007):L2コミュニケーションへの躊躇は準備要因の欠如によるものである

A context-sensitibe perspective on classroom WTC

classroom WTCは1つの要因だけに注目するのではなく、様々な要因と調査することで調べられるべきであり、個人要因と状況要因を統合した研究はあまり行われていない。

Aims and research questions

  • どのように教室でのWTCの行動は説明されるのか
  • どのような点で個人や状況の要因は作用し、WTCに影響を与えるのか

Method

Setting

  • 参加者の学校は海外からの学生に対して入学前にacademic Englishを教えるためのものである

Paricipants

  • 6名の中国人の学生が参加者として選ばれた

Data scources and procedures

  • データ収集:授業の観察、stimulated-recallインタビュー、ジャーナル

WTC observation scheme

  • 従来の研究では、自己申告でのアンケートであったが、今回の研究では教室での実際の(強制ではなく自主的な)コミュニケーションをデータとする
  • WTCとparticipationは同じように扱われるが、participationが教師による強制的なものも含むのに対して、WTCは自主的なもののみである。
  • 集められたデータは、教師がいるペアと教師がいないペアに分け、さらに下位カテゴリーとして、volunteer a comment、ask the teacher for clarification、talk to neighbor/add a comment、respond to an opinion

Stimulated-Recall Interviews

  • 正確な思い出しのためにインタビューは授業でのやり取りの後48時間以内に実施された

Journal Entries

  • 参加者は毎週1つの授業について振り返り、WTCが高かったか低かったかについて説明させた

Data Analysis

  • インタビューとジャーナルから、WTCに関するものとそうでないものがコード化され、カテゴリーごとに分けられ、情意面が関わっているか調査した。
  • 授業観察から、生徒が話す機会全てからWTCの割合を出した

Results

An Overview of Factors underlying WTC

  • 環境、個人、言語の3つの側面がカテゴリー化された
    • 環境:topic、task type、interlocutor、teacher、class interactional pattern
    • 個人:internal affective factors
    • 言語:language proficieny、reliance on L1

Summary of Case Studies—Dynamism and Interdependence

  • 6人のWTCは授業ごとに変化し、それは個人、環境、言語の側面の相互影響によるものであった

Case study

Yi-yum: Acting on Affordance/Opportunities

  • WTCは主に教室で起こったことに影響されていたが、特にグループやペアでの話し相手に影響を受けていた
  • 初期のWTCは低く、クラスの平均よりかなり低く、授業も退屈に感じ、居眠りすることもあった。しかし、エッセーライティングの授業では最初はWTCが低かったが、グループディスカッションでより活発になっているようであった。
    • prereadingのグループディスカッションの際によく意見を出していた
    • その後のインタビューでは話し相手の言及はなかったが、グループが協力的で他の学生が意見を促すような声掛けをしてくれていた
    • リーディングには様子が変わり、言語面や情意面がnegativeな影響をしたが、話し相手はpositiveな影響を与えた
    • その後、リーディングに取り組んだが、教師からの助けもなかったため、読んだ内容が分からないために、あまりグループディスカッションに参加できなかった
  • 中盤では、WTCは高まっていた。
    • 授業では、トピックについて興味はなかったものの、ディスカッションの際の韓国人の学生の話に興味を持った。分からないこともあったが、質問を行うように、WTCは高まっていた。
  • 後半の段階では、WTCは平均より少し高く、特に授業は文法についてのものであったので、相対的に高かったが、ペアでの話し合いでは積極的に取り組んでいた。

Summary of Yi-yun’s Case

  • 5ヶ月の授業でWTCは変化し続けていた。
  • 環境、言語、個人の要因が影響したものの、話し相手の要因が特にWTCに影響を与えただろう。

Discussion and conclusions

  • 学習者のWTCに関する行動は、1つの要因だけが影響するのではなく、個人、環境、言語の要因の相互関係から起こっている
  • この研究はKang(2005)をサポートした:situational WTCは、同じ話者との会話であっても変動する
  • この研究の参加者は、先行研究でtrait WTCの要因とされたものを原因に挙げず、感情や会話の機会など、他の個人的な要因を挙げた。

この文献を読んで

今回はCao(2014)の”A Sociocognitive Perspective on Second Language Classroom Willingness to Communicate”を紹介しました。授業中の学習者のWTCを探るこの研究は、これまでの学習者の傾向を探る研究とは異なり、WTCが動的なものであり、教室での様々な要因が影響を与えていることを気づかせてくれます。日本のEFL環境では、今回の研究でも述べられた学習者自身の英語力はもちろんのこと、教師と生徒の役割の考え方や正しい答えを期待されているなどの日本人の文化的な要因も影響しているように思われます。どのようにして日本人学習者のWTCを高めていくことができるかについてはもっと研究をしていきたいです。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

文献情報

Cao, Y. (2014). A Sociocognitive Perspective on Second Language Classroom Willingness to Communicate. TESOL Quarterly, 48(4), 789-814.

Last Updated on 2024年2月22日

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