中部地区英語教育学会の研究大会に参加してきました。
大会自体は6月25日(土)と26日(日)の2日間のオンライン開催でしたが、仕事や諸事情のため一部のみの参加となりました。
プログラムとしては、問題別討論会”How do we enhance interactions in class?”に参加しました。
タスクの専門家である名城大学の松村昌紀先生を司会に、中高大の先生方がご自身の授業での生徒の英語でのやりとりについて実践を報告されていました。
中部大学の加藤由崇先生は、タスクが英語でのやりとりにおいて重要な役割を果たすとし、活動の重要なポイントとして、descriptive to creative(与えられた題材から考えるものから自分たちで意見を出すものへ)、そして、more to less structured(形式や手順を決めたものから自分たちで自由に取り組むものへ)が提案された。やり取りを行わせる活動を考えるに当たっては、タスクの観点はやはり参考になると思った。
山梨県立甲府昭和高等学校の田中知聡先生は、高校での実践として教科書の題材を基に、生徒たちがやりとりをできるように、教師ができることとして、①題材と生徒を関連づけること、②生徒ができるように足場がけを与えることが重要であると話していた。自分も同じような単元を高校でも扱っていたが、生徒がより興味関心を持てるような問いや活動が考えられており、生徒が「話したい」と思えるような工夫がたくさん行われていた。
福井県越前町立宮崎中学校の内藤元彦先生は、中学校でのやりとりについて、ご自身の様々な失敗談を交えながら、そこから現在どのような実践を行われているか話し、特にALTと教師でのやり取りを生徒に見せることで、英語でのやり取りを行いたいと思う「必然性」を生徒に感じさせていた。他にも、生徒間でリアクションをしっかりと行わせるなどの点は意外と忘れがちな点で、今後活動を行わせる際にも指導していきたいと感じた。
その後、各先生方との質問会の後、最後に全体の会が再度持たれたが、生徒に英語でのやり取りの必然性をどのように持たせるかという議論が中心となっていた。日本の英語学習環境では、英語の授業以外で英語を使用することはほとんどなく、授業の中で生徒たちが話してみたいと思うような仕掛けや活動の工夫がやり取りを行わせるために重要であるように感じた。また、日本語の効果的な使用ということも話され、最初に日本語で話を行わせ、その後同じ内容で英語での話をさせるということが提案された。translanguagingのように、生徒が話す内容の言語材料として、母語の効果的な使用も考えることができるだろう。
個人的には、必然性を感じることができるという情意面での話が今回は中心となってしまったため、英語でのやりとりを行うことができることを目標として、言語面での指導はどのように行なっているかが気になった。今回の会で英語でのやり取りをもっと取り入れたいと感じたが、必然性の工夫はもちろんのこと、日々の英語指導の中でどういった指示やトレーニングを中高大のそれぞれの現場で行なっているか知りたかった。短い時間の中で、初学者に近い中学生を指導されている内藤先生には質問することができたが、やはりやり取りができるように、日々の授業では「瞬間英作文」等のトレーニングを行なっていると話していた。日本の英語学習環境では、普段英語を使用することはほとんどなく、どれだけ必然性が高くても生徒自身が英語を使用することに不安を感じていれば、英語使用を促すことが難しいだろう。英語教師が授業で英語を使用することはもちろん大前提だが、その一方で十分な練習を行い、まずは教員と生徒のやりとりも行いながら、生徒間でのやりとりを行うことで、生徒自身が英語の授業では英語を話すことが普通だと感じ、やりとりに取り組むことができるのではないだろうか。そう考えながらまずは自分自身の実践を改善していきたいと思います。
今回は中部地区英語教育学会の問題別討論会の話でした。英語でのやりとりはますます求められてはいますが、あまり急がず、生徒たちが少しずつ英語でのやりとりを行うことができるように、情意面・言語面で工夫を行いたいと思います。
ちなみに、来年の中部地区英語教育学会研究大会は2023年6月24日(土)と25日(日)で開催されるようです。来年こそは対面になるといいですね。今回は発表することはできませんでしたが、来年は発表できるように今後の研究を進めたいと思います。
では、また次回。Tomorrow is another day.
第51回中部地区英語教育学会福井大会のHPは此方より↓↓
中部地区英語教育学会のHPは此方より↓↓
Last Updated on 2022年6月30日
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