東京大学の『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』を読んで

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3月も残り少しとなりましたが、いかがでしょうか。此方は終業式も終わり、まずは今年度がひと段落し、無事に1年を終えることができてホッとしています。皆様、今年度お疲れ様でした。

さて、先日、東京大学のHPで『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』というページを見つけました。東京大学がこのようなことをHP上で掲載するのは珍しいと思います。

今日の投稿では東京大学の『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』を読んで考えたことについてまとめました。

記事については此方をご覧ください。

高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと | 東京大学

高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと

各大学では入学を希望する方々に向けて、どのような人物をその大学が求めているかがアドミッション・ポリシーに記載されていますが、今回の東京大学のHPにはさらに、高校までの学習で身につけてほしいことの中で留意してほしい内容が教科ごとに掲載されました。教科としては、国語、地歴・公民、数学、理科、外国語の東京大学の入試で使用される5つの教科についてそれぞれ記載され、それぞれの教科で身につけてほしい内容が書かれています。

外国語の項目ではまず次のように書かれています。

人間は「ことば」なしでは生きていけません。誰もが「ことば」で考え、相手の感情を知り、自分の思考を相手に伝えます。「世界的視野をもった市民的エリート」を育てることを使命とする東京大学は、教養教育(リベラル・アーツ教育)を重視しており、そのため、入試問題においては、多くの外国語による受験に門戸を開いています。具体的には、英語のほか、ドイツ語、フランス語、中国語等による受験が可能です。共通して求める能力をまとめるとすれば、「外国語による理解力と表現力」ということに尽きます。

東京大学『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』より引用

いかがでしょうか。読者として主に高校生を意識しているからかもしれませんが、東京大学からのメッセージが端的にわかりやすく書かれています。ただ、その一方で、ポイントが凝縮され、東京大学の使命に向けて、入学試験では英語に限ることなく他の言語でも受験でき、そして入試として「外国語による理解力と表現力」をしっかりと明言している点は重要かと思います。

そして、その続きとして次のことが書かれています。

いずれの外国語についても、本学で学ぼうとする皆さんは、高等学校までの教育課程の範囲内で、それぞれの言語によるコミュニケーションに必要とされる理解力と表現力を備えていることが期待されますので、その言語についての正確な知識に裏打ちされた論理的な思考力の養成に努めてください。外国語文の和訳、和文の外国語訳、文法的知識を問う問題は言うまでもなく、ときにその言語の背景にある社会・文化への理解を要求する問題が出題されるのも、そうした努力の成果を見るためです。

東京大学『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』より引用

先ほどの「外国語による理解力と表現力」について、その具体的な内容が書かれ、外国語の内容を理解そして表現するための力を育成しておくことは前提として、その言語の文化的・社会的背景をさらに深めておく必要があることも含めて外国語による理解力と表現力として書かれているのではないかと思います。

外国語の授業だからこそ大事にしたいこと

ここまで東京大学の記事を読んで考えたこととしては、外国語の授業である以上、まずはその言語の理解力と表現力を身につけることがやはり1番の目標であるべきということを再確認しました。昨今そのようなことが本当に重視されているかと疑問に思うことが多くあります。英語の授業の中で、英語力以外の様々な力を身につけさせようとしている風潮があるように感じ、一見英語の授業で身につける必要があるか疑問に思うことや、英語だけが様々な使命を担わされているように思うこともあります。英語の授業である以上、まずは生徒の英語力を少しでも向上させることを主眼に置き、他の要素についてはあくまで副産物でいいのではないのでしょうか。最初からhit two birds with one storeを狙うのではなく、hit one bird with one stoneをしっかりとまずはできることで、偶然two birdsになったらそれはラッキーぐらいで。

一方で、東京大学で出題されるような英文を読むことができるようになるのでは相当の時間を費やす必要があるでしょう。そして、それに向けて受験英語として和文英訳や英文和訳などの所謂従来の英語指導だけにほとんどの授業時間が費やされるということもあるでしょう。もちろんこれから少しずつ改善される必要はあるかと思いますが、所謂従来型の授業が全てダメだったというような議論は乱暴のように思います。その指導も英文を正しく読み、自分の言いたいことを正しく伝えるという部分では生徒の英語力をしっかりと身につけさせてきたわけですから、今後に向けてどうすればいいか、どうしたらさらに向上できるか二項対立ではない議論がこれからますます行われることを期待します。

東京大学なりのメッセージ?

ここからは少し穿った見方かもしれませんが、今回の東京大学の記事は昨今の教育状況に対しての東京大学なりのメッセージではないかとも思いました。あくまで憶測ではありますが、昨今教育現場で様々なことが取り上げられ、それぞれが違った方向を進もうとする混沌とした現状になり、各教科で身につけるべきそもそもの教科の力を身につけることが疎かになっている現状があるのかもしれません。全ての人が東京大学を目指す訳ではありませんが、もし東京大学でさえも高等学校までに身につけるべき各教科力が疎かになっているのであれば、他の大学やましてや高校生にも同じ状況が見られるのではないでしょうか。あくまで憶測ではありますが、まずは自分の授業では改めて英語の基礎・基本を身につけることを大事にしようと思います。

まとめ

今回は東京大学の『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』を読んで考えた事について自分の中で整理してみました。どの内容も端的な中にポイントが凝縮されているように感じました。東京大学が言うから全て正しいという訳ではありませんが、少なくとも国内トップの高等教育機関としてそこで学ぶためには何を身につけて必要があるかには非常に参考になるかと思います。東京大学としては、教員に対してのメッセージは『高等学校段階までの「授業」で身につけ「させて」ほしいこと』でしょうか。この内容を踏まえて、次年度以降もまずは生徒に基本的な英語力を身につけさせることができるように尽力したいと思います。

記事此方からご覧ください。

高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと | 東京大学

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

Last Updated on 2024年3月25日

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