2025年大学受験に向けての指導方針②〜英文読解編〜

リーディング指導

4月も4週目に入り,本格的に授業も始まりましたが、いかがでしょうか?此方も自分の担当クラスが本格的に始まり,授業をする中で生徒の課題を確認しつつ,次の授業の内容を考えるライブ感を大事にしつつ,日々授業を楽しんでいます(自転車操業なだけかもですが…)。

前回から今年度の授業方針について書き始め,語彙学習について教材や単語テストの運用方法について紹介しました。初回のテストも終わり,英語が苦手な生徒も得意な生徒も適度な難易度で良い練習になっているようでした。

さて,今回は大学受験のメインである英文読解の指導について紹介しようと思います。

大学受験に向けての指導方針②〜英文読解編〜

大学入試で選抜のために1番測定される技能といえばリーディングでしょう。私立大学では文法問題も傾向としてまだ残っていますが,センター試験も共通テストになり,アクセント問題や文法問題は消え,リーディング中心になり,提示された英文を正しく読み取ることがますます重要になっていきています。一方で,リーディングがテストの中心になることで,結果的に,大量の英文を制限時間内にできる限り早く読むことを求められるような形式になり,その点で共通テストで苦しんでいる受験生も多いのではないかと思います。自分の担当の生徒は国公立大学に向けて日々努力していますが,同じように共通テストの過去問や模試で早く読むことに苦戦している生徒も多いです。そのような現状で大学入試に向けて最終的に大量の英文を早く読むことができるようになる必要がありますが,まずは1つ1つの英文を正確に理解し,同じ文を繰り返し読む中で早く読むことができるようになることを目標とします。そのため,授業としては英文をまずは正しくじっくり読むことに重きを置き,同じ題材を繰り返し読み,当初読むのに時間がかかったものも何度も読んでいくうちに早く読むことができるように,授業をしていきたいと思います。

使用教材

英文読解の教材としてはエミル出版のCutting Edgeシリーズを使用しています。Cutting Edgeは1番下のYellowから1番上のBlackまでの5つの難易度から成り,1年生の頃からこのシリーズを使用し,YellowとGreenを終え,今年度は2つのクラスはGreenの次のBlueの終盤,もう1つのクラスはBlueの初めから始めました。この教材の特徴として,収録されている英文が大学入試で出題されたものはもちろんのこと,その中でも文章のトピックが比較的新しいものが収録されています。そのため,英文読解のトレーニングとしてもそうですが,生徒にとっても興味深い内容が多く,書かれている内容自体も楽しむことができます。また,付属のCDでは収録されている英文の実際に入試問題で出題された形式が収録されており,腕試しとして生徒に入試で出題された形式で取り組ませることができ,またその単元の内容に関連した内容の入試問題も収録されているので,しっかりと読んだ内容を基に,別の英文で学んだ知識を活かして英文を読むこともできます。

運用方法

先ほども言ったように,授業の目的としては,早く読むことではなく,英文をまずは正確に読むことができることです。その中で繰り返し同じ英文を読むことを通して,最初は時間がかかった英文も少しずつ早く読むことができるようになることを目指します。

実際の指導の展開としては,次の通りです。

時限内容
1時間目前時の復習,入試問題形式での英文読解
2時限目前単元の英文のディクテーション,英文解説(1)
3時限目前時の復習,英文解説(2),課題の提示
4時限目前時の復習,入試問題形式での英文読解
5時限目2時限目以降と同様

最初の授業では,新しい単元の英文を,付属のCDに収録されている入試問題形式に取り組ませます。既に前の単元の長文を読み終わっている場合は,最初に前時の復習をします。復習方法については後で説明します。メインの入試問題形式では,入試を意識させ,制限時間を設けて早く解かせることを求めたいところですが,生徒が自分の今の力でしっかりと読むことが授業の目的なので,ここでは制限時間は設けるものの,生徒が取り組んでいる状況を見て,時間も延長します。限られた1授業時間ではどうしても解けない生徒も出てくるので,そういった際には残ったところを宿題として次回の授業までに解き終わっていくように指示します。

2時限目はいよいよ英文解説です。ただ,ここでも前半では復習をします。前の単元の英文の復習として繰り返し読んだ英文のディクテーションに取り組ませます。音声面を扱う際には,本来であれば読んだ後より読む前に本文を流して概要を聞き取る方がいいのかもしれませんが,英文自体も読み物として書かれたものであり,長さもあるものなので,初見で聴いて理解するには少し難易度が高いと思いましたので,内容理解後にディクテーションを取り入れることにしました。リスニングということで内容理解問題を出題することもできますが,既に内容については理解しているので,ディクテーションに取り組ませることで,生徒は英語を聞き取りながら理解した内容を基に空所を埋めることができます。

後半は英文解説です。高校3年生で扱う英文となり,構造もそうですが内容も難しくなってきているので,基本的には1文1文説明するようにしています。ただ,やはり教師が一方的に説明するのは生徒にとって退屈なので(自分もそうですが),英文の構造やその内容についてペアやグループで相談させて考えさせたり,単語の意味や文の主語や動詞を聞く際には,ペアやグループでじゃんけんをさせ,勝った人が答えさせたり,生徒が集中力を保つことができるように適宜仕掛けを作ります。英文構造では特にthatやカンマの役割について生徒には聞くようにしています。

次の授業での前時の復習では,前の時間で説明した英文の中から数文を下線し,それらを日本語に訳させる活動をさせています。狙いとしては前の時間に読んだ英文を再度読み,下線した英文を日本語に訳させることで,身につけた知識の確認をさせ,大学入試に向けても英文を日本語らしく訳させる練習をさせています。また,前時の内容理解のために簡単に済ませていた内容についてもこの時間で他の文法との比較や語彙についても辞書で意味を確認させる言語に注目する時間にしています。

その単元の英文解説が全て終わると,宿題として教材に付属の復習用のテキストの該当ページを取り組むように指示します。復習用のテキストには入試問題形式とは別に新たに問題が記載され,それ以外にも語彙や文法の確認,そして本文についての日本語での要約問題もついています。内容理解や語彙・文法問題については取り組みやすいですが,要約問題については苦手意識のある生徒も多いかと思います(私も正直苦手です)。そのため,生徒には不完全でも構わないからまずは自分で書くように指示しています。その後,回答解説を確認し,何が必要であったかを確認するように言っています。

このように,大学入試形式で英文を読み始める段階から,英文解説,前時の復習,単元終了後のディクテーション,そして復習用テキストというように,生徒たちは5回同じテキストを読みます。最後のディクテーションの際には英文を少しずつ覚え始め,流れているくる英語に難しさを感じつつも,空所を補充できている様子で,英語は聞き取れなかったものの,友達同士で「こんな内容だったよね」と話しているので,生徒には覚えている内容を基に空所の英語を考えてごらんと伝えています。また,同じ英文を繰り返し読むことで英語が苦手な生徒も前に取り組んだ際より少し読むことができているように感じます。そのように,自分の中での成長を感じることができるのも繰り返すことのメリットかと思います。

量か質か

大学受験に向けて多くの英文を読んでいく必要はあると思いますが,大量にどんどん読んでも少量をじっくりと読んでも身につける量としてはそれほど大差はないと思います。また,新しい英文を読むことは毎回エネルギーが必要かと思います。自分の苦手な英文を読む際にはなおのことかと思います。一方で,同じ英文を手を返し名を変え手を替え品を替え読ませることで,繰り返すことで色々な表現を身につけることができるのはもちろんのこと,英語が苦手な生徒も繰り返すことで自分の成長を感じることができるのではないかと思います。

また,英文を読む上での基礎・基本はどんな英文であろうと変わらないかと思います。主語と動詞を確認するのはもちろんのこと,関係詞や分詞構文,比較などの文法を項目を確認するためにもまずは1つの英文を繰り返すことで読解の基礎・基本も確立されていくのではないかと思います。

まとめ

今回は今年度の大学受験に向けての指導の英文読解について紹介しました。大学受験に向けて扱う英文はどんどん難しくなりますが,生徒一人一人が授業を通して英文を少しずつ理解していくための仕掛けとして,私の授業では英文を繰り返すことを大事にしていきたいと思います。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

Last Updated on 2025年4月25日

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