AIや機械翻訳で授業は変わる?変わらない?〜関西英語授業研究会 Harvest 第11回南大阪支部に参加して〜

研究会・セミナー

春休みに入りましたが、皆さんどのように春休みをお過ごしでしょうか。終わったと思えばすぐに始まってしまうので、あっという間の春休みですが、皆様にとって少しでもお休みの時間になることを願っています。

さて、先日高校の同級生が発表するということもあり、「関西英語授業研究会 Harvest 第11回南大阪支部」に参加してきました。

イベントの詳細は此方をご覧ください。

関西英語授業研究会 Harvest 第11回南大阪支部
第11回 Harvest 南大阪@カシオのお知らせです。今年度もお疲れ様でした。ほっと一息も束の間、新年度がやってきます。今回は新年度を迎えるにあたって、日頃の業務に忙殺されがちな... powered by Peatix : More t...

研究会の詳細は此方をご覧ください。

関西英語授業研究会 Harvest

今回の投稿では、このイベントの内容と参加して感じたことについて共有します。

研究会の内容

今回の研究会では年度末または次年度に向けてということで、高専、大学と中高一貫校の先生方から1件ずつ発表がありました。最初は谷野圭亮先生による「『現職・大学生・大学それぞれの気持ちをつなぐ』ー現場・学生・教員養成カリキュラムの塩梅を考えよう:3回生の教科教育法の例ー」という発表で、谷野先生が担当されていた教員養成の授業の話と自身が開発されている生成系AIを使った英語教員のための指導支援ツールについての話がありました。2つ目の安井茂樹先生による『新年度への挑戦と忘れてはならない英語教育への視座』では、授業での活動の意味の大切さや同僚性について話があり、最後の有馬麻子先生による『英語の授業と機械翻訳』では、昨今注目されている機械翻訳に関して先生自身が修論で発見された知見について報告がありました。

AIや機械翻訳で授業は変わる?変わらない?

今回参加したセミナーでは、生成系AIや機械翻訳の話があったため、パネルディスカッションや会全体の議論も、AIや機械翻訳とどのように共存していくかの話題が中心になりました。発表者の1人であった有馬先生の報告から、教師がどのように制限しようとも学習者は機械翻訳を使用するという話があり、これだけ科学技術が発達した世の中で学習者にAIや機械翻訳の使用を制限しても、学習者は使ってしまうでしょう。むしろ、どのような点で便利かやどのような点に注意する必要があるのか、AIや機械翻訳の使い方についての使い方について今後伝える必要があるでしょう。ただ、確かにAIや機械翻訳の弊害については注意する必要はあると思います。セミナーでのグループ議論の際の他の先生の話によると、夏休みの課題として何か英語で書いているように課したところ、同じ内容の生徒が数名いたということであった。その先生が言うには、ChatGPTなどの生成系AIに夏休みにしたこと自体からお願いしたからだろうということでした。また、スローラーナーの場合は、自由英作文を課した際には、普段の授業での英語のフォントと異なる英語を書いてくるということで、生成系AIを使用して表示された英語をそのまま文字通りに書き写しているからだろうということでした。どちらも指導者としては残念な部分もあるが、これも学習者が生成系AIや機械翻訳を使用してしまう現状ということでしょう。

どうもAIや機械翻訳の議論がいつもどう扱おうか、制限しようかの議論でいつも行き詰まっている気がしてなりません。正直なところ、危機感の欠如と言われるかもしれませんが、個人的にはAIや機械翻訳についてあまり問題に感じていません。というのも、どれだけAIや機械翻訳が発達しようと、英語教師としてすることは大きく変わらないと思います。もちろん学習者がそれらを利用して彼らに到底書くことができないような英作文等を持ってくるかもしれないですが、その場合はその内容について話させればいいだけの話と思います。スローラーナーや初学者であれば短い文になると思うのでただ読ませるだけでも辿々しく読むと思うので自分の英作文かどうか判断できますが、短くても書いた内容を日本語で説明させたり、長い文章であれば要点を説明させるなど、そのようなことでたとえAIや機械翻訳を使ったとしてもしっかりと内容を理解しておく必要があり、結果的に英語力を鍛えることができると思います。また、事前に準備するものだけでなく、授業においても即興での口頭のやり取りを行わせることや文法的なことをその場で聞けば、その授業の中で生徒たちが「何故こうなるんだろう」や「こうしたらどうだろう」というように思うような仕掛けを考えることはいくらでもできるでしょう。私の授業でも長文やリスニングに取り組むませる際には、まず自力で読ませた上で、友達同士で話し合って、辞書や調べながらもう1度読ませたり、宿題としての英作文でも自力で書いたものと辞書などを利用して調べて書いたものを両方提出させるようにしています。今回の有馬先生の話では、どのような点でAIや機械翻訳を使用したかを学習者に報告させるという事例も紹介されていたので、次年度以降そのようなことを盛り込むのも面白いかもしれません。

また、学習者がAIや機械翻訳を使ってしまう理由として、課題のレベルが合っていないということもあるでしょう。熟達した学習者であれば自分なりに書くことができるかもしれませんが、スローラーナーや英語が苦手な学習者は自分に難しいけど提出しなければならないと思えば、AIや機械翻訳に頼ってしまうでしょう。大人でも時間がない時や他に方法がないか考える際に使用するのだから、学習者が使用することを思いつくのは当然でしょう。それを少しでも避けて自分で取り組ませるのであれば、先に挙げたように自力で書いたものと調べて書いたものの両方を提出させることもそうですが、学習者が取り組もうと思うことができるような授業作りも必要かと思います。自分の授業でもできているかと言われたらまだまだ課題が山積ですが、英作文なら書き出しを示すや授業の中で途中まで書くことなど、学習者の実情に合わせてスモールステップを設定することができれば、それでもAIや機械翻訳を使ってしまうかもしれませんが、少しでもその学習者が自力で書いたものはあるかと思います。この工夫もAIや機械翻訳が発達した今の世の中だからというわけでもないかと思います。学習者が少しでも前向きに取り組むことができるように工夫をすることは変わらぬ大事なことかと思います。そういった点からも、AIや機械翻訳が流入するからといって、英語教師として取り組むべきことは変わらないかと思います。

一方で、AIや機械翻訳の発達により、外国語教師の仕事がなくなるのではということを言う人がいますが、我々の仕事はその程度の仕事なのでしょうか。未来のことは分かりませんが、コミュニケーションの楽しさはまだまだ伝えることができると思います。仕事をしていてもメールや報告書等の事務作業の際にはAIや機械翻訳は便利ですが、英語でのコミュニケーションの楽しさは伝えることができないと思います。そして、その楽しさは英語教師であろうと感じている人しか生徒たちに伝えることはできないでしょう。生徒の英語力を上げることが英語教師の仕事であることは言うまでもないですが、それと同時に身につけた英語力で何ができるかまたは英語力を身につけることで何ができるか何を楽しむことができるかを伝えられるかも英語教師の大事な仕事であると思います(まだまだ生徒たちにうまく伝えることができていませんが…)。

まとめ

今回は「関西英語授業研究会 Harvest 第11回南大阪支部」に参加して感じたことについて書きました。改めてAIや機械翻訳に考える機会にはなりましたが、英語教師として次年度以降何か劇的に自分の授業が変わるかというと、便利な部分はAIや機械翻訳に頼りつつも、基本としては普段通りコミュニケーションの楽しさを伝えるために毎時間の授業での生徒との英語でのやりとりを楽しみたいと思います。まだ英語教師として働かせてもらえる間は…?

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

Last Updated on 2024年3月27日

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