6月に入り,皆様いかがお過ごしでしょうか。梅雨に入り,他のクラスで「紫陽花」と書かれているのを見て,「なんて読むの」と生徒に聞いて,「あじさいですよ,常識ですよ」と言われてしまい,ジメジメも相まってショックでした…笑
今日の投稿では、先日参加してきた関西英語教育学会2025年度第31回研究大会について報告したいと思います。関西英語教育学会の研究大会は毎回,2日間開催されますが,1日目は勤務と被っているので,2日目のみの参加となりました。今回はその午前中のプログラムについて紹介したいと思います。
関西英語教育学会HP
関西英語教育学会2025年度第31回研究大会
関西英語教育学会2025年度研究大会に参加して①(AI編)
ワークショップ①
2日目最初のプログラムは関西大学の水本篤先生による「AIと英語教育 理論編:理論的背景に基づく授業設計と実践」のワークショップでした。日本の英語教育でのAI最前線である水本先生ですが,ワークショップとしてお話を聞く機会は今回が初めてで,AI時代の現在の英語教育について先生のお考えを聞くことができることを楽しみにしていました。
ワークショップでは,まず昨今の日本の教育でのAIの動向から,英語教育においての位置付けについてのお話がありました。小中高大それぞれの段階での学習者と授業者のAIの使用について整理がされ,英語学習において初学者である小学校の段階ではAIの使用は推奨されず,中学校から高等学校にかけて英語力を身につけるにつれて,AIの産出内容を批判的に見ることができるようになり,少しずつAIの使用を増やしていくべきであるというお話でした。特に印象的であったのは,水本先生がAIを使用するにあたり学習者と授業者の両方が英語力を高めていく必要があると仰っていたことでした。AIが作り出した内容は,便利である一方で正確性に欠けることが多々あります。その内容を学習者も授業者も自分で確認し,なぜそのようになるのか,間違っていないかなどを確認できるようになるために,英語力も引き続き高めていく必要があるということでした。
また,水本先生が作られた英語学習支援のアプリケーションの大学生の実際の使用においても,TOEFLのスコアが低い生徒はAIが修正した自分の英文について質問をせず,習熟度の高い学習者は修正された部分についてその表現の入れ替えがなぜ行われたのかなど,AIとやり取りをすると言うお話もありました。また,習熟度も動機づけも低い学習者はAIに修正された英文をただコピペする傾向であることを考えると,授業者としてまずは生徒の英語力を身につけることはまだまだ変わらないことであると思いました。
水本先生の英語学習支援のアプリケーションlextrackerは此方から。
ワークショップ②
2つ目のワークショップでは,「教育現場におけるAI活用の現在地:生成AI×英語×ライティング・スピーキング指導」と題して,立命館大学の山下美朋先生と大阪公立大学高等専門学校の谷野圭亮先生,そして滋賀県立彦根東高等学校の南部久貴先生によるAIを使った,それぞれの実践の紹介がありました。山下先生からは立命館大学のTRANSABLE,谷野先生からは個人で開発した,生徒が書いた英文に対して,フィードバックと修正した英文を生徒1人1人に返却する個表に自動的に出力するアプリケーション,そして南部先生からはタスク活動でのAIの利用について紹介がありました。
その前の水本先生のワークショップで生成AIについてとその付き合い方についての紹介があったので,3人の先生方の実践についてもスムーズに理解することができ,その分自分の授業についてどのように使うことができるかについて考えることができました。
一方で,水本先生のお話の中で学習者自身が修正された英文に対してどれだけ自ら質問することができ,AIとやり取りを行うことができるかが重要であることを踏まえて,紹介されたアプリケーションで生徒への習熟度に合わせたフィードバックは簡単に行うことができるものの,それを生徒にどれだけ提示するか,どのように提示するかについて授業者として考える必要があると感じました。
紹介されたAIアプリケーションなどについては此方から。
英語教員支援ツール

Teacher Tools
TRANSABLE : AIを活用した英語学習ツール

AI英語教育ラボ

まとめ
今回は先日参加してきた関西英語教育学会2025年度研究大会の午前中のプログラムであったAIについて紹介しました。まだまだAIのブームは続きますが,英語教員としてどのように向き合うべきか,そして生徒にどのように向き合わせるべきかについて考え続けていきたいと思います。
次回は午後のプログラムについて報告したいと思います。
皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.
Last Updated on 2025年6月11日
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