さて,そろそろ中間試験前日や真っ最中,もしくは終わったという方もいらっしゃいますでしょうか。私は先日,何とか自分のテストを提出することができ,週末をゆっくりと迎えることができました。いつも綱渡りな人生です…
前回から生成AIについて書き始め,実際どのように授業で使用しているかについて,生成AIによる英文空所補充問題の作成を紹介しました。

今回はその生成AIに作成させた問題の問題点について紹介したいと思います。
生成AIに英語の問題を作らせてみた結果
前回紹介したように,生成AIのおかげで今まで作りにくかった問題も簡単に作ることができるようになりました。ただ一方で,実際に使用していくには注意が必要です。
英語のミス
まずは生成した問題の英語のミスです。たとえChatGPTであろうと,英語の間違いをすることがあります。少し前にとある範囲の語彙をChatGPTに入れると,今まで通りその範囲の単語を使った英文補充問題を4つの選択肢と合わせて10個作成してくれました。


このように瞬時に問題と解答一覧,そして日本語訳を作成してくれるのは本当に便利です。しかし,よく英文を見てみると,使われている表現ではしないような不自然な表現が見られました。
例えば,4番の問題では,答えが3となっていますが,resist his eyes openというのは英語としていかがでしょうか。辞書では,resistは基本的にSVOの語順で使うと記載があり,用例の中にもこのようなSVOCのような語順での使用はありませんでした。

また,6番では,答えは2番のdiscourageですが,discourage her daughter not to quit collegeは英語として成り立つでしょうか。本来,discourageは,discourage A from doing 〜の形で使われるべきであり,「〜をしないように」という意味でnot toがついてきません。

このように,一見英語を日本語訳のようにも読めないこともないですが,英語として不自然な表現がこのように見られることがあります。
テスト問題としてのミス
また,次の例はいかがでしょうか。正答は3となっています。英語の間違いはなさそうですが,それ以外の選択肢はダメでしょうか。少し強引な部分もありますが,他の選択肢でも正当になる可能性があり,信頼性が低い問題となってしまっています。

これを信頼性の高い問題にするには,正答しか入らないように問題を変更する必要があります。ChatGPTに指示をして,このように変更してもらいました。次はいかがでしょうか。

これでやっとdestinyしか入らないようになりましたね。このように,英語のミス以外にも,英語の問題としてのミスも大いに見られます。
その他にも…
最後は英語のミスでも問題のミスでもないのですが,この問題作成の指示として,作成した10問の中でそれぞれの問題で選択肢が被らないように指示していましたが,別の問題で使用していたdeserveがさらに別の問題でも使用されていました。問題を生成する際に自ら修正する場合もあったのですが,今回は修正の形跡もなく,同じ単語の使用がありました。

そのため,既に使用されていることを指摘して,別の単語に入れ替えるように指示すると,次の問題になりました。

なんと,生成された問題には被っている選択肢がまだ残っていました。その次に入れ替えさせた際には流石に修正されていましたが,このようなミス(?)が繰り返し起こってしまっていました。
まとめ
今回はChatGPTに作成させた問題について,英語のミス,英語問題のミス,そして些細なミスについて紹介しました。入力する欄の表示にもあるように,もちろんChatGPTも完璧ではありませんので,それを使用するものの責任であることは当然ですが,教員が見極めることができなければ生徒たちが見極めることができるわけはありません。
次回はこの便利さと危うさを踏まえて,今の英語教師に何が必要かを考えたいと思います。
皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.
参考文献
笠原究・佐藤臨太郎 (2017).『英語テスト作成入門 効果的なテストで授業を変える!』金星堂.
Last Updated on 2025年5月20日
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