昨今の入試での英検の活用について

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いかがお過ごしでしょうか。最近は勤務先で高校入試があり、採点業務も無事終えることができました。同じ週は何か微妙な寒気がずっと続いていましたが、発熱するほどまではなく、何とか体調を維持することができました。

今週は英語検定試験(以下、英検)の一次試験の結果が生徒に返却されたので、英検について最近思うことを書きます。

英検一次試験結果の返却

先週は生徒たちが受けた、今年度3回目の英検の一次試験の結果が学校に届いていたので、生徒へ返却しました。一次試験を合格して二次試験への切符を手に入れた生徒もいれば、残念ながら不合格で次の試験への挑戦を新たに決める生徒もいました。勤務先では英検取得が附属の大学への内部進学の要件の1つであり、多くの生徒が毎回英検に挑戦します。普段の授業では一切英検対策のようなものはしていませんが、今回も担当している生徒が合格・不合格それぞれ報告してくれました。

入試と英検

さて、昨今英検の高校入試や大学入試で年々活用されているようになり、入試での加点などは昔からありましたが、英検の受験率がますます高まっているように感じます。英語に注目が集まり、多くの方々が英語を身につけようと思っていること自体は良いことですが、一方で英語熱が高まりすぎているが故に高校入試や大学入試の条件を満たすために受験が活発になっていることや塾などを利用していることに疑問を感じる部分もあります。これでは、裕福な家庭だけが子どもの英検取得に向けて塾に通わせ、合格できるまで英検を何度も受験できる状態になってしまいます。さらに、昔に比べると、英検の受験料もかなり高くなり、ますます貧富の差により学力の差が高まるばかりではと思います。世の中には数多くの資格がありますが、英検や漢検、数検などは、その教科が少し得意で挑戦してみようというようなものであり、取得していればほんの少し有利ぐらいだったと思います。それが今では取得しなくては入試で不利となるような資格取得が入試の必要条件になり、先ほど少し話したように、勤務先でも英検取得が附属大学の内部進学の要件であり、取得せざるを得ない状況であり、内部進学を目指すほとんどの生徒が受験します。他の大学では、受験資格として英検のCSEスコアを設定するところもあり、担当の生徒の一人は英検2級を既に取得しているが、CSEスコアが基準を満たせていないために、英検2級を再受験する生徒もいました。このように、資格試験がこのように人生を大きく左右するようなものであっていいのでしょうか。

英検CSEスコアとは | 公益財団法人 日本英語検定協会
英検CSEスコアとは、英検の合否判定に使われるユニバーサルなスコア尺度で、生涯学習に最適な指標としてご活用いただけます。英検の成績表には、CSEスコアに加え、国際標準規格CEFRも表示されます。

でも英語教師なら…

ここまで昨今の入試での英検について書いてきましたが、個人的には英語教師である以上は英検1級の取得は必須と思います。大学時代、「英検1級が英語教師としてのスタートライン」とよく言われました。それを聞いた時には、大学入学してすぐの当時の自分は、大学受験で勉強したそのまま、英検準1級に向けて準備していた頃であり、準1級の勉強だけでも大変なのに、英検1級でやっとスタートラインだなんて、英語教師の道のりの厳しさを痛感していましたが、英検1級を取得すれば英語について今より分かるようになるはずだという憧れもありました。それからは何度か不合格もしながらも教員生活1年目の時に英検1級をやっと取得することができましたが、取得して感じたことはやっと合格できた喜びはもちろんですが、それと同時に何もまだ英語について知らないということを痛感しました。英検1級を取得しても分からない単語や言い回しはまだまだあるし、英字新聞も英語で行われるディスカッションも英検1級を取得しても分からないことの方が圧倒的に多く、授業でも難しい表現や海外の文化を生徒に伝わるような平易な表現に言い換えることすらまだまだすることができず、「英検1級が英語教師としてのスタートライン」の本当の意味が取得してやっと分かりました。英語教師である以上、英検1級はあくまで通過点に過ぎず、生徒たちに正しい見本を示すために、取得した後でも自ら学び続け英語を磨き続けなければならないと思います。また、自分が話す英語の正しさや生徒の英語の訂正、そして試験で出題する英語の確認等、授業する上で様々な面でしっかりとした英語力が求められます。今でも大学時代の恩師に「ある日ふらっと英検1級を受けて、その試験を楽しめるぐらいでないとね」と言われることがありますが、それぐらい楽しめるように英語を楽しもうと思います。まだまだ英語修行は続きそうです。

これから英語資格を取得しようと思う方もいらっしゃると思いますが、もちろん必ずしも英検でなけれならないわけではないですが、TOEICやTOEFL、IELTSなどの他の英語資格はビジネスやアメリカの大学での学習など、それぞれに特徴があり、汎用的な英語力を測る資格試験としては英検がいいかと思います。

まとめ

今回は英検について思うことを書きました。色々な資格試験がありますが、1つ1つ段階を踏んでいくという点で、日本人には英検が1番取り組みやすいのではないかと思います。TOEICやTOEFLなど、何点中何点のような試験が多くありますが、点数の意味がイマイチピンとこない点と、初級者から上級者まで点数を出す故問題が多い点、そしてビジネスやアメリカでの生活を前提としていない点で、英検を1つ1つ合格していくのが取り組みやすくまた結果も分かりやすいのではと思います。そして、これから英検1級を取得したい方は教員の取得に関する助成もあるかと思いますので、是非そちらも活用してください。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

Last Updated on 2024年2月13日

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