残念ながらGWも終わってしまいましたね… 次の祝日は夏休みまでありませんが,イベントごとも多いと思いますので,それらをこなしながら次の休みまで程々に頑張っていきましょう。
さて,前回は5ラウンドの実際の実践について,授業見学の様子を紹介しました。
今回の投稿では,見学を通して5ラウンドについて考えたことを紹介しようと思います。
5ラウンドについては此方の書籍をご確認ください。
5ラウンドの授業を見て感じたこと
言えることを増やす大切さ
5ラウンドでは教科書を繰り返し使いますが,それによって生徒が教科書で扱われている表現を積極的に言おうとしている様子が印象的でした。その表現をどの程度理解して別の場面でも同じように使用できるかなどまでは分かりませんが,生徒が学んだ表現を言おうとする様子には自信の表れではないかと思います。繰り返しやったからこそこの表現には自信があると思い(間違えない?),発言しようとしたのではないかと思います。
このように自信を身につけることは日本人英語学習者にとって重要だと考えます。Willingness to Communicateというコミュニケーションを取ろうとする気持ちの指標において,外国語としての英語のコミュニケーションにおいて自信の影響は大きいと言われています。5ラウンドの実践では教科書を繰り返すことで教科書の表現に繰り返し触れ,生徒が自信を持ち,実際に使ってみる際にも進んで英語でコミュニケーションをすることができるのだと思います。
最後はコミュニケーション活動
5ラウンドはそのラウンドをやることだけが注目されるかもしれませんが,それぞれのラウンドはあくまで練習であり,実際に使用する機会がなければ練習だけで終わってしまいます。そのためにラウンド前のチャットや,それぞれのラウンド終了後にコミュニケーション活動で実際に使用する機会を持つことで,繰り返し取り組んで身につけた表現を使用し,また新たな表現を身につけるために5ラウンドに取り組むことで,良いサイクルが生まれるのではないかと思います。
また,見学した学校では2年次と3年次に全員参加の語学研修プログラムが設定されていることも英語力に寄与しているかと思います。2年次はイングリッシュキャンプのように何日かで集中して英語を使用する機会が与えられ,3年次にはシンガポールに行き,現地の生徒と交流する機会があるということでした。普段の英語授業でも英語を使用してコミュニケーションに取り組む機会があるものの,これらの語学研修を通して,英語でしか伝えることができな機会で5ラウンドで身につけた表現を実際に使ってみることはもちろんのこと,言いたい英語と今言える英語のギャップを感じることで,普段の英語の授業への取り組みも良くなっているのでしょう。
教師の英語力
5ラウンドでは授業初めの帯活動としてチャンツとスモールトークが設けられています。チャンツでは英語のリズムを確認し,スモールトークでは身につけた英語を使用します。そのスモールトークでは教師の英語力が重要になってきます。どのような内容をスモールトークで話し,どういった反応が生徒から返ってくるかを予想するなど,ある程度の準備は事前に行うことができますが,生徒から予想外な反応があった際には臨機応変な対応が求められ,その際に英語でどのように展開できるかが教師の腕の見せ所かと思います。中学2年生の授業では,2月が28日あるので,2月と3月で同じ日に同じ曜日があるということから,閏年など色々と話が膨らみ,それに対して教師がleap yearなど状況に応じて英語を工夫しながら授業を展開していました。5ラウンドに限った話ではありませんが,スモールトークではどんな状況でも楽しめる(?)ぐらいの教師の英語力が必須かと思います。
同僚性
この5ラウンドの授業を学校全体で実施する際に重要なのは担当教員での共有が要かと思います。5ラウンドは実施方法が確立されているので、他の担当者が代わりに別のクラスを担当する際であっても、どの単元のどのラウンドかで多少の違いはあれども同じように授業を実施することができるということでした。一方で、5ラウンドの導入から学校全体で運用していくまでには大変な苦労があったということでした。当日の英語科主任の先生が様々な部署に相談し、予算も取り付けながら最初の3年間を終えることで、現在のカタチにすることができたということでした。
まとめ
今回は5ラウンドの授業を見て感じたことや考えたことについて紹介しました。
前に投稿したTANABU Modelもそうですが,今更ながら,教科書の大切さを実感しています。生徒たちが最初に触れる教科に触れる入り口である教科書。各社の方々が心血を注いで作ってくださり,最近では資料も本当に豊富です。それをまずきちんとやるだけで,いろいろな教材に取り組むより,英語もより効率的に身につけることができるのではないでしょうか。
皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.
参考文献
金谷憲 (2017).『英語運用力が伸びる5ラウンドシステムの英語授業』大修館書店.
Last Updated on 2025年5月7日
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