GWが終わり,なかなか社会復帰しにくいですが,そろそろ中間試験の頃でしょうか。それだけならいいのですが,私は高校3年生の担任ということもあり,5月は学内外で共通テスト模試や記述模試があり,受験生としての最初の山場を迎え,生徒たちには本当に頑張って乗り越えてほしいと思うばかりです。
さて,今回は単語帳について最近感じていることについて書きたいと思います。少し前に大学受験に向けての指導の中でも語彙指導について書きましたが,単語帳については思うところがありました。今回はそれについて書きたいと思います。
大学受験に向けての語彙指導については此方から。
単語帳は必要なのか?
英語学習において当然のように使用されている単語帳ですが,そもそも必要なのでしょうか。私自身もこれまでの英語学習において単語帳はもちろん使用してきましたので,完全に反対というわけではありません。ただ,英語がますます入試で重要な位置付けになる中で,1度見直してみてもいいのではないかと思います。
一般的な運用方法?
さて,皆さんは単語帳を授業で使用していますか。一般的な手段としては,生徒全員に購入させ,毎週の特定の曜日の朝礼や終礼の際に,または授業中にその単語帳から事前に指定した範囲から出題する単語テストを実施するという流れでしょうか。私自身も学生時代もそうでしたが,今のコースを高校1年生から担当することになってから,単語帳を購入し,今年度も含めて3年間使用しています。もちろん語彙力は英語に限らず言語学習において大きな基盤であり,読めることも聞けることも広げるだけでなく、書けることや話せることも増えていきます。昨今の共通テストや4技能型の外部試験の影響もあり,語彙力がより注目され,多くの先生方がより大きな語彙力を身につけさせるために,単語帳を持たせ,それを使った単語テストもしくは単語活動を実施しているかと思います。
More is better?
共通テストや外部試験の影響もあり,大量の英文や英語の音源を制限時間内に処理できるようになるために,年々単語帳の収録語彙数が増え,どんどん分厚くなっているような気がします。出版社としては大学入試をできる限りカバーするために,毎回の改訂で収録語彙を精査していると思いますが,正直なところ,”More is better”の考えのもとに作成されてしまっているのではないかと思えてしまいます。では何語収録されていればいいのでしょうか。正直,答えはないと思います。そうれであれば,もはや辞書でいいのでは?と思う今日この頃です。
次出会えるのはいつ?
語彙を身につける上では,色々な場面で出会うために繰り返しが重要です(Nation, 2013)。ただ,色々な題材に触れていると,よく出会う語彙もあれば次いつ出会うか分からない語彙など,頻度は題材の分野や難易度等で様々です。単語帳においてもテストの範囲となった際には集中して覚えるものの,次の機会にその単語に出会うことができるのはいつになるのか。場合によってはほとんど出会わないということもあるかもしれません。
生徒の側視点
生徒たちの視点で見てみると,より大きな語彙力を身につける必要性は理解していると思いますが,授業では教科書も副教材もあります。また,それらも昨今の共通テストや外部試験の影響を受け,語彙力も英文の量も増大しているかと思います。そして,英語が唯一の学習科目ではなく,それ位以外にも様々な科目やクラブ活動など,高校生も多忙です(昨年度の共通テストからは情報も科目として加わりました)。それらもこなしながら,また別で単語帳の語彙も自分たちで身につけていく必要があります。また,そこに授業の課題も出されていれば,それらを処理していくのは大変でしょう。
まとめ
今回は,単語帳について考えてみました。
使用することが当然(?)のように思われがちですが,共通テスト等の入試に向けて語彙力を強化することは必須であるものの,教科書やその他の教材など,生徒が取り組むべき課題は多くなるばかりであり,1度見直してみることは必要ではないでしょうか。
次回は単語帳への代替案の提案をしたいと思います。
皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.
参考文献
Last Updated on 2025年5月8日
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