単元によって授業を変えませんか?〜TANABU Modelその2〜

実践紹介

先日は共通テストが無事に終わり,受験生の皆さん,そしてその受験生を担当する先生方やその他関係の皆様,お疲れ様でした。まだまだこれから受験期間は続くと思いますが,皆さんが無事に全力を出し切ることができることを願っています。私の担当の生徒たちは来年受験となるので,今年の問題を確認し,今後の指導を検討していきたいと思います。

さて,前回は昨年より取り組んでいるTANABU Modelについて,勤務先の授業への導入の経緯とTANABU Modelの概要について紹介しました。

今回の投稿では,そのTANABU Modelについて,こってりコースのワークシートの説明をしようと思います。

前回の投稿は此方から。

TANABU Modelについては此方の書籍でご確認ください。

こってりコース

こってりコースでは,教科書の単元1つの各パートで3時間をかけて,7つのワークシートを使用します。3時間とワークシートの割り当ては此方の通りです。

時限ワークシート
1時限目Paragraph Chart, Summary Writing, Reading Comprehension
2時限目Vocabulary and Expressions Practice, Reading-aloud Activities
3時限目Dictation, Retelling

Paragraph Chart

最初のワークシートのparagraph chartは教科書本文の概要理解を目標とします。生徒たちは本文の段落ごとにまとめられた内容の各空所を,辞書を使用せず教科書本文を読みながら埋めていきます。本文の内容によってはグラフィックオーガナイザーを用いて作成することもできます。

そのようなワークシートを作るのは苦手な人も多いのではないかと思います。私もそんなセンスがないためオシャレにまとめるのは正直苦手です。ただ,その際には教科書の左側のページに内容の概要理解のためのものが用意されている場合が多いので,それを活用することができます。また,指導書には最近リテリング用のワークシートを収録されているものもあるかと思いますので,それらを参考にしてみてもいいかと思います。

Summary Writing

次のsummary writingでは,引き続き辞書を使わず,自分が意味の分かる単語をヒントに本文の内容を日本語を100字程度でまとめます。要約活動なので得手不得手が別れやすく,正直,生徒にとってかなり負荷がかかるものかと思います。ただ,完璧な要約を目指す活動ではなく,あくまで自分で読んでみて,お互いの要約を共有して,他の生徒の観点を確認する時間です。活動後はようやく,生徒は辞書を使って単語を調べることができます。但し,調べるのは10個までです。

Reading Comprehension

先ほどの2つで概要をある程度理解した後は,reading comprehensionで詳細の理解を目指します。質問は英問英答で,まずは質問文の主語と動詞を確認します。これにより,この疑問文の意味を確認することができます。次に,質問の答えを本文中から探し,その答えを含んだ文を見つけ,その文に線を引きます。そして,線を引いた文をもとに,質問文の解答を作成します。

この活動では質問文の主語と動詞を確認することで,躓きやすい質問文の意味の確認をすることができます。また,英語が苦手な生徒でも,答えを含む部分を線を引くことであれば取り組みやすく,後は教師の手助けで英文も書くことができるでしょう。

Vocabulary and Expressions Practice

1時限目の内容理解を経て,2時限目では語彙や表現の確認と定着を図ります。まずは,vocabulary and expression practiceで,このシートは表の形式で,右側に本文の表現の日本語がフレーズごとに描かれ,中央にそのフレーズの英語の語数,そして左側に空欄があり,生徒はそこに該当の英語を書きます。

Reading-aloud Activities

本文中の重要な表現を確認した後は定着活動としてreading-aloud activitiesです。この際には左右日英対照のワークシートを用いて,音読活動を行います。このワークシートについては指導書に同様のファイルが既に用意されていると思うので,作成についてはそれほど手間がかからないと思います。一斉読みやペア読みはもちろんですが,次の時間のdictationやretellingに向けて,定着を図るために様々な音読活動を行うことができます。

Dictation

1時限目の内容理解,2時限目の表現の定着を経て,3時限目はアウトプット活動に移行します。Dictationでは,本文中に空所または下線部を作り,教科書音源を何度か流し,生徒は空所を埋めます。これはテストとして扱うこともできるでしょう。

Retelling

Dictationの後は,このパートの最後の仕上げとして,retelling活動に取り組みます。Retellingでは,本文中から10個のキーワードを用意し,生徒はそれらを基に本文の再話に取り組みます。まずは何度かペアで行い,リハーサルを行います。その後,ワークシートにライティングで再話した内容を書きます。書いた後は,書いた語数と10個のキーワードをどれだけ使うことができたかを記入します。此方の書いたものの評価としては,先ほど書かせた語数と使用したキーワードの数を基に,厳密ではなくある程度幅を持たせて評価を行います。

まとめ

今回はTANABU Modelのこってりコースで扱われるワークシートについて紹介しました。本文の概要理解から語彙や表現の定着,そして身につけたそれらをアウトプットする流れを通して,本文の内容理解はもちろんのこと,表現の内在化に向けても寄与できるのではないかと思います。

しかし,文字による説明で実際のワークシートが想像しにくい方も多かったのではないかと思います。実際のワークシートについては是非,此方のページでご確認ください。

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次回は実際にこってりコースを運用してみての問題点や課題について紹介しようと思います。やはり実際の教室で生徒に実施してみると,そんなに上手くはいきませんよね。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

参考文献

金谷憲・堤孝 (2017).『レッスンごとに教科書の扱いを変えるTANABU Modelとは―アウトプットの時間を生み出す高校英語授業』アルク出版.

Last Updated on 2025年1月26日

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