「奈良教育大学英語教育研究会2026年1月の会」に参加して

奈良教育大学英語教育研究会

1月も残り僅かとなり,あっという間に2026年の1ヶ月目が終わろうとしていますが,いかがお過ごしでしょうか。共通テストが終わり,受け持つ生徒たちの国公立出願先決定のための毎日面談を繰り返す毎日です。

今日の投稿では,先日参加した「奈良教育大学英語教育研究会2026年1月の会」について,発表内容とその内容を経て考えたことについて紹介しようと思います。

奈良教育大学英語教育研究会については此方のHPをご覧ください。

奈良教育大学英語教育研究会(中部地区英語教育学会奈良支部研究会)
January 26th, 2026Rintaro Sato (Nara University of Education)Nara University of Education ELT Study Group -January 2026-...

奈良教育大学英語教育研究会に参加して

まず,最初の発表は,帝塚山中学校・高等学校の中林豊先生による「Things We Need to Be Aware of When Teaching English in Japanese Classrooms」でした。英語を少しでも使用できるようになるためにご自身が大切にされていることを話されていました。まずは日本の英語学習環境から整理し,日本は,アメリカやイギリスのように普段から使用するEnglish as a Second Language (ESL)の環境ではなく,普段の生活で英語を使用することのないEngish as a Foreign Language (EFL)の学習環境であり,ご自身の経験や大学受験指導の経験から,その環境では日常的に触れられる英語の量が少ないことからルールを学んで英語を身につけていく必要があることが紹介されました。そのためには明示的指導により英語の仕組み,そして日本語との違いについてしっかりと教える。しかし,教えるだけでは使えるようにはならないので,様々な活動を交えながら何度も何度も繰り返し練習を重ね,英語を身につけさせる必要があるということを話されていました。発表では,そのために考案された多くの練習活動が紹介されていました。最後には,outputを試合,intake(内在化)を練習として例え,確かに試合は一見目新しく見栄えのいいものであるが,そればかりをしていては身に付かず,試合で力を発揮するために,そして自由になるためには,膨大な不自由な経験をする必要があるということで発表は締め括られました。

次に,関西学院大学の米崎里先生による「Features of Practices Supporting English Education in Finland: An Analysis of Primary and Lower Secondary School English Textbooks」でした。まずは,米崎先生がこれまで取り組まれてきた,フィンランドの英語教育について,英語能力は日本より高いことから,日本とフィンランドでどのような違いがあるかが紹介されました。一方で,もちろんヨーロッパ圏であり言語距離も近いことから日本の環境とは異なるものではありますが,ヘルシンキのような都市部では英語は使用されているものの,そこから離れれば母国語が中心であるということでした。そして,そのフィンランドの英語教育の取り組みとして,その1つとして教科書,中でもワークブックについて紹介がされました。ワークブック自体はかなり分厚く,そしてその中に文法や語彙を身につけるための練習活動がたくさん掲載されていました。その上,1つ1つの活動が工夫され,考えさせられるものもありながらもどれも楽しく取り組むことができるものでした。そして,米崎先生の研究では,日本のテキストとの比較が行われ,日本では内容理解や文法説明などのinputや,ライティング活動やスピーキング活動などのoutputの活動の比重が多く,一方で,フィンランドでは学んだ文法や語彙を身につけるintakeのための比重が高いことが紹介されていました。日本より英語能力が高く,コミュニケーション活動中心かと思いきや,身につけるためのいわゆる練習活動にページが割かれているというのは驚きでした。米崎先生はその研究から,日本の英語教育においてもoutputを急ぐのではなく,そのための準備としての練習活動にもう少し時間をかける必要があるのではないかということを提案されていました。

今の日本の英語教育に必要なことは…?

今回,この研究会参加して感じたことは,intakeに時間をかけることの重要性でした。もちろんただただpracticeをそのためにしていればいいということはではなく,また,practice自体もmechanicalなものを永遠にしておけばいいということではありません。そうではなく,日本の英語教育において,昨今コミュニケーション活動や言語活動を積極的に取り入れることを求められる風潮の中で,米崎先生が発表の中で紹介されていた村野井(2006)の「第2言語習得の認知プロセス」にもあるように,与えられたinputが与えられ,outputできるようになるまでには,intakeや自動化の段階があり,できるようになるためにinputを与えてすぐにoutputを求めず,中林先生が仰っていたように,intakeのための時間をかける必要があります。コミュニケーション活動や言語活動自体が大切ではありますが,今回の研究会を参加して,outputのためにはintakeのための充分なpracticeが必要であることを改めて確認しました。日本の学習環境では授業でしか英語を触れることはなく,その授業時間でさえも限られていますが,日本の英語教育では学んだことを自動化した段階まで持っていくことが課題であり(白井, 2023),慌ててoutputさせるのではなく,教師側がどの段階であるかを意識して,まずはしっかりと練習させ,できることを増やすことを念頭に入れておく必要があるかと思いました。

まとめ

今回は先日参加した「奈良教育大学英語教育研究会2026年1月の会」について紹介しました。2026年最初に参加した研究会ではありましたが,昨今の言語活動中心の流行の中で,まず何を大事にするべきなのかを再確認することができた機会となりました。生徒が自由に英語を使用できるようになるために,今後も不自由な活動をやっていこうと思います。

皆さんの実践や研究の少しでも役に立てば幸いです。Tomorrow is another day.

参考文献

白井恭弘 (2023). 『英語教師のための第二言語習得論入門 改訂版』大修館書店.

村野井仁 (2006). 『第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法』大修館書店.

Last Updated on 2026年1月30日

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